音楽が変えるもの。
いつでも、どこでも、好きなスタイルで。
音楽は、なんて自由になったんだろう。
でも、「いつでも」「どこでも」は、
たったひとつの、そこにしかない音とは、圧倒的にちがう。
そのとき、その場にいないと体験できない音。
ヘッドフォンで密閉された世界では知りえない開放感。
カラダと心のなにかが、音と、人と、その場の熱に躍動する。
体感するバイブレーション。人とつながる音楽。
そこには、明日を変える希望の力が宿っているのです。

五感を自由に使う楽しみ。毎日が充実するよろこび。

それはまさに、”天国の音”。

スウィートなサウンド―南米のトリニダード・トバゴでは、スティールパンの音をこう表現するんです。スウィートな味だね、というのと同じですね。僕は昔から、音楽と食べ物は似ていると思ってるんだけど、甘いものがくれるなんとも言えないしあわせな気分、これがスティールパンの音の世界なんです。
僕がスティールパンを体験したのは、80年代のN.Y。治安が悪く、ストリートも悲壮感でいっぱいでした。なのに、一人だけ楽しそうに演奏していたのが、カリブのおじさん。その楽器がスティールパンだったんです。僕にとっては「出会い」ではなく、「体験」としか言えないんですが、その音を聞いた瞬間、自分の中でイメージとアイデアがあふれてきた。当時、日本で体験できる音は限られていたから、「この音を届けたい。感じてほしい」、そう思ったんです。しあわせな音、まさに“天国の音”でした。

What's the Steelpan ?
スティールパンって?

カリブ海で唯一石油が採れる島国「トリニダード・トバゴ共和国」の国民楽器で、石油のドラム缶を太鼓代わりにしたのが始まりです。
表面のボコボコした「くぼみ」のくぼみ方で音程が違います。
音階は2オクターブ以上に渡りますが、くぼみはドレミの順に並んでいるわけではなく、スティールパンの種類によっても異なります。

目指せ100人!きっと音楽が「場」に変わる。

「パノラマスティールオーケストラ」は、プロ奏者と一般の人の35人編成。一般の人は、メンバーになると表情が明るくなってくるんですよ。大人になって利害関係のない集団に居場所があると、安心するのかもしれないですね。 演奏は、うまいも下手も入り混じり、ミュージシャン同士では考えられない音が生まれます。「音楽は限られた人のものじゃない」と、多くの人に伝えたい。だから、目指せ100人なんです。100人だったら、見てる人が参加しちゃってもわかんない。「音楽」ではなく、きっと「場」になる。ワークショップをやっても、ライブとの差って感じないんですよ。それだけ、ライブも気持ちの距離が近い。各地にスティールパンのグループがあるけど交流は少ないらしいので、僕たちと彼らがつながれば地域の壁がなくなります。そういう意味でも、100人オーケストラを実現したい。なにか大きなものが動く…そう考えるだけでワクワクするんです。

音楽の鼓動が、人種や世代をつなぐ。

日本でのスティールパンの印象は、カワイイやトロピカルですが、現地では現実逃避のリラックスではありません。楽しみでいい音を求めた楽器じゃなく、音を出すのが好きなアフリカ系の人たちが、モノがない中で気持ちいい音を探した「魂の歴史」があるからです。マイクがなくても大きく響き、ピアノやギターのように技がなくても演奏できる。ある意味、音楽の原点なのかもしれません。
「パノラマ」というお祭りでは、トリニダード・トバゴに熱狂の渦が巻き起こります。世界中からスティールパン奏者が集まり、とにかく熱い!音楽的にはアフリカンで、100人以上のオーケストラが、歌うように情熱の音を響かせる。地元の人も、地区ごとに子どもやお年寄、さまざまな民族が入り混じったチームを組んで参加します。一緒に音を出すことで、人種も世代も超えてつながっていく。この国にとってスティールパンと音楽は、かけがえのないものなんです。

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